ジャコウネココーヒー(Civet Coffee)は、そのユニークな製法と極上の風味で「世界で最も高価なコーヒー」として知られています。特にベトナムでは「Cà phê chồn(カフェチョン)」と呼ばれ、特別な一杯として多くのコーヒー愛好家に親しまれています。
本記事では、ジャコウネココーヒーの魅力や本物の選び方、楽しみ方について詳しく解説します。
ジャコウネココーヒー
ジャコウネコのコーヒーとは、ジャコウネコが食べた糞から、未消化のタネ(コーヒーチェリー)を回収して作ります。ジャコウネコの消化酵素による発酵が、他にはない独特の香りとまろやかな味わいを生み出します。

コーヒー豆に特別な風味+苦味が軽減される+甘さが引き立たせる特徴があるよ!
ベトナム産のジャコウネココーヒーの特徴
深いコクと控えめな酸味
ロブスタ種が多く使われるベトナム産ジャコウネココーヒーは、力強いコクと控えめな酸味が特徴です。自然な発酵過程で豆の風味が洗練され、飲みやすく上品な味わいが楽しめます。練乳との相性も抜群で、ベトナム特有の飲み方である「カフェ・スア・ダー」にぴったりです。
希少性の高さ
ジャコウネコが自然の中で食べるコーヒーチェリーの量は限られており、収穫できる豆もごくわずか。そのため、ジャコウネココーヒーは非常に希少で高価です。
偽物品に注意:本物の見分け方
ジャコウネココーヒーには、次のような「偽物」や「模造品」が存在します
- 飼育されたジャコウネコの糞から採取されたもの(自然採取ではない)
- 本物の豆と通常のコーヒー豆をブレンドしたもの
- 普通のコーヒー豆に香料で「それっぽさ」を演出しただけのもの
これらは本物と比べて風味や品質が大きく異なるため、価格に惑わされないようにしましょう。
科学的な識別方法
現在では、ガスクロマトグラフ(GC)や質量分析計(MS)などの高度な分析機器を用いて、ジャコウネコの体内で発酵されたコーヒー豆特有の化学成分を検出する技術が進化しています。こうした分析は大学や専門機関でも研究されており、高品質な製品の裏付けとなるデータとして注目されています。
信頼できる業者では、こうした科学的な検査結果を明示している場合があります。
価格の確認
本物の野生ジャコウネココーヒーは100gあたり1万円以上が一般的です。ただし、ベトナムの観光地などでは、200~250gで3000〜4000円程度の“安価な模造品”が売られているケースもあり、旅行者が誤って購入してしまう事例も少なくありません。
価格が安すぎる商品には必ず理由があると考え、裏面のラベルや販売者情報なども確認しましょう。
信頼できる販売店で購入
購入する際は、専門店や信頼できるブランドからの入手が安心です。ベトナム国内では、空港や大手デパート、国際的な認証を受けた販売店などが信頼できるとされています。観光客向けの露店や無名ブランドの商品には注意が必要です。
参考情報
*参考情報としてお伝えします。
ハノイ:
Anne’s maison (アンヌメゾン)
住所:119 Hang Buom St. Dist.Hoan Kiem. Ha Noi
ホーチミン:
Trung Nguyen Legend (チュングエン レジェンド)
ラベルの確認
「100% Wild Civet Coffee」と記載されたラベルや、トレーサビリティ(生産地や流通経路)の記載があるものを選びましょう。国際認証マーク(UTZ、Rainforest Allianceなど)やベトナム農業省の検査マークを確認することも信頼性の一つです。
ベトナムでの楽しみ方
1.専門店での試飲
ホーチミンやハノイには、試飲サービス付きの高級カフェや専門店があります。バリスタが一杯ずつ丁寧に淹れてくれる店舗もあり、香りや後味の違いをじっくりと体験できます。
試飲を通じて、ブレンドの違いや焙煎レベルによる風味の変化も学べるため、初心者から上級者まで満足度の高い体験ができるでしょう。
2.自宅での本格的な淹れ方
カフェ・フィン(ベトナム式フィルター)を使って自宅でじっくり抽出すれば、本格的な味わいを楽しめます。練乳を加えたり、アイスコーヒーにしたりといったアレンジもおすすめです。
ジャコウネココーヒーの未来と課題
倫理的な問題
野生のジャコウネコではなく、狭いケージで飼育された個体を使って量産される事例が増えており、動物福祉の観点から大きな批判を受けています。こうした飼育方法では、ストレスが大きく、動物の健康に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
また、消費者が安価な製品を求める傾向が強まることで、こうした非人道的な生産方法が拡大するリスクもあります。倫理的な選択をすることが、結果的に高品質で持続可能なコーヒー文化を支える第一歩になります。
代替品の技術開発
この問題に対処するため、人工酵素やバイオテクノロジーを使って、ジャコウネコの発酵過程を再現する技術が進められています。実験段階ではありますが、風味の再現度は年々向上しており、動物を一切使わずに生産可能な「エシカル・コーヒー」として注目を集めています。
環境保護団体や大学研究機関も共同で取り組んでおり、今後はサステナブルなプレミアムコーヒーとして市場に本格参入する可能性も高まっています。
まとめ
ジャコウネココーヒーは、そのユニークな製法と深い味わいで、特別な一杯として多くの人々を魅了しています。しかし、その希少性や高価格だけでなく、動物福祉や倫理的な観点からの配慮が求められる存在です。購入時には、本物を見極める知識とともに、持続可能な選択を意識しましょう。
ぜひこの贅沢なコーヒーを試し、ベトナムの豊かなコーヒー文化を体感してみてください。